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何が見える?

初対面の人と話す時、私は話題に困ります。そこでひとつの絵を見るという共通体験をする事で、対話の手助けにしようと考えました。

初対面の人と会う時、自分との違いを受け入れられるか、さらに自分はその人に受け入れてもらえるのかという不安からとても緊張します。ひとつの絵を見るという共通体験を通じてお互いの視点を知り、自分とは違う価値観を発見し、自分との違いを受け入れる準備運動になれば良いなと思い、このプロジェクトを行いました。

プロジェクト企画・製作者: 海上千佳

2021.07.12

何が見える?①

始めに考えたのは、ひとつの絵を見てもらい、「この絵のタイトルは何だと思いますか?」と聞いて、その様子を録画してみよう!というものでした。絵は、部屋にあった何枚かのポストカードからピータードイグのものを選びました。ある程度具象なので、タイトルは?の質問に答えやすいと思い選択。

様々な人に声をかけたいと思い、公園に行ったものの、知らない人に声をかける勇気が持てず、一緒にいた姪っ子に聞いてみた。その時「タイトルは?」の質問は難しいと思い、「何が見える?」という質問に変えてみました。そうしたら絵の中心にいる人には触れず、壁の模様や電柱について教えてくれて、私には思いがけず、新鮮な発見でした。

その後も知らない人には声かけられず、近所のおじさんに協力してもらいました。それでも姪っ子の時にはない緊張感を感じながら、「この絵のタイトルは?」と質問をしてみました。そうしたら、おじさんも姪っ子と同様に人物ではなく後ろの壁の模様がカバに見えると教えてくれました。私にはどうしても壁の模様がカバには見えず、心の中で「こういう場合どういう反応したら良いのかな?」「しつこくどこがカバ?と質問し続けるのは失礼だよね?」などと戸惑いながら、何となくカバに見えると話を合わせてしまいました。その事に少し違和感を感じたものの、動画を取り終わった後、おじさんが趣味で作っている、鳥のカービングの作品を見せて貰い、年に1度、区の施設で作品展示しているという事や、頼まれて作って人にあげる事もあるなど、今まで知らなかったおじさんの生活が知れてなんかとっても充実した気分になりました。

その後も何人かの知人に協力してもらい、数名を集めて動画にしてみてトライアル終了。

今回のトライアルの中で一番引っかかった事は、おじさんのカバに対して、話を合わせてしまった事。会話の中で人と意見が違う事は日常の中でもあって、その時に自分はどうしているかな?と考えてみる。話題の重要度にもよるが、何となく相手に合わせている事が多いかも。むしろ自分の意見と違う事にも気付いてないかも知れない。と思い、人の視点、価値観を知るチャンスは自分の意識次第で日常にもっとあるのだという事を認識。忙しかったり、自分に余裕がなかったり、様々な理由で違和感に立ち止まらず今回の様にわかったつもり、相手を理解したつもりになっている事が自分の気づかないところで多々発生しているのだろう。

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企画・製作者

海上千佳

東京生まれ