2021.07.12
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2021年2月1日に報じられた、ミャンマーでの国軍によるクーデター。今となっては信じられないことに、私は他のネガティブなニュースと一緒に、ため息一つで流してしまっていた。
この半年、ミャンマーについて関心を寄せ続け、ミャンマー人とも知り合ってきたにも関わらず、起きた事実の重大さを認識できていなかった。今も決して胸をはれるわけではないけれど、当時それほどミャンマーについて無知だったということになる。
ようやく自体を把握すると、これまでに出会ってきたミャンマーの人たちの顔を思うかべて、次会った時にどんな会話ができるか考える。でも、かけるべき言葉が見つからない。そもそもそれほど日本語が堪能じゃない相手と、この件についてそれほど理解していない私で、どんな意思疎通ができるというのだろうか。
このプロジェクトでやりかけてきたこと、やろうとしていたことを改めて一から考え直す必要があった。制作しようとしていたものは、クーデターを経た今、あまりに牧歌的すぎる。それをそのまま実施するには、在日ミャンマー人に対して失礼にあたるんじゃないかとすら思っていた。東日本大震災で経験したような、以前と以後のあまりのギャップに、現実のいろいろなものが無効化してしまった感覚が思い出される。
当初計画していたものは、「やさしい日本語」で書かれた日本在住のミャンマー人同士の交流を促すコミュニティー誌の制作だった。すでにミャンマーの方に実際にインタビューをして、モック版を制作していた。
ミャンマーには『THE VOICE』というメジャーな新聞紙がある。それを誌名に拝借して、毎号取材した人の名前が入った『THE 〇〇's VOICE』。紙面には「日本での生活」「好きなもの」「将来の夢」などが並ぶ。インタビューした内容を私が構成した、片面A3サイズ4色刷りのタブロイド紙だ。
軌道に乗ったら、ミャンマーの文化も紹介して日本人が読んでも楽しめる内容を増やしていく。日本人とミャンマー人どちらが読んでも面白く読める媒体にしていきたい。ミャンマーの人たちにも制作メンバーとして協力を募り、一緒に作っていきたかった。
ふと、現状を思い返す。クーデターから5か月が経過し、この非常事態は最大2023年1月まで続く(ミャンマーの現行の法律では非常事態宣言の期限は1年、その後最大1年は延長することができる)。日本で報じられる痛ましいニュースが常態となり耐性ができはじめた今のタイミングなら、改めてクーデターを経たポジティブなコミュニティー紙を作ることができるんじゃないか。
最後にあったのは2月14日。代々木公園からスタートするデモ行進の列に並んでいたのを偶然見かけた。いろいろな思いを抱えながら待機しているだろう彼らに、その時は「こんにちは、久しぶりです」以外にかける言葉が見つからなかった。でも今なら笑顔で彼らと会える気がする。そして、話したいこともたくさんある。
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